タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「おかえりなさーい!」
いや、『おかえりなさーい!』じゃないよ。
え。は?
なんで、あなたがここにいるの?
だって私、ずっと真っ直ぐ歩いてたじゃん。
なのに、なんで……?
「そりゃそうよ。あゆなん、さっきからずっと同じ道を歩いているんだから」
そう言って私が向かった方向を指さす。
ずっと同じ道を歩いている?
なにそれ。意味わかんない。
しかもまた聴かれてしまったみたいだし……。
「まったく、しょうがないわね。ほら見なさい」
そう促されて下を見る。
視界に入ってきた長く綺麗な手のひら。
その中央にひよこっぽいマスコットが私を見つめてきた。
ピヨちゃんと言うらしい。
オカマさんが優しく撫でながらそう私に言っていたのをみて、なんか気が合いそうだなと感じてしまった。
ピヨちゃんを下に置くと、ふたりしてさっき私が歩いた道に向き合う。
「まあ見てなさい。すぐに分かるわ」
上から見下ろされた青い瞳がきれいに弧を描く。
なんでこんな楽しそうに笑うのだろう、と不思議に思いながら歩くこと
1分もしなかった。
私は自分の真下にあるそれをただ見つめた。