タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

「いっ、たぁ……」


頭を押さえて再びしゃがみこむ。


薄目を開けると視界がボヤけていた。
あまりにも痛すぎたせいで涙を浮かべたらしい。


「あたたたた……
もー、あゆなんったら!」


背後(うしろ)の方で同じく痛そうな声を上げる人物。


本来ならすぐ向き合って、手を差し伸べるかして、謝るところなんだろうけど。


私は、まず固まった。それから瞬きを数回して、頬をつねってみた。


……い、たい。


それでもまだ信じられなくて、
もう一度、今度は両方の頬を思いっきりつねった。



「痛っ!」

「あゆなん、何しているの?」


背後から聞こえる声は全く耳に入らなくて、この状況がなんなのか考え続ける。


全然答えが分からなくて、何が起こっているのか分からなくて、どんどん不安になっていく一方で、涙を浮かべた。


「あゆなん?」

「……な、んで、ゼテルアさんが、いるん、ですかっ」


歪んだ視界に青い瞳を捉えて、真っ直ぐに見つめた。



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