タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「ウサギ!?」
なんで!なんでウサギがここに!?
しかも、立ってる!?
「か、かわいい……」
小さく漏らした声を聞いたのか
そのウサギは人の影に隠れてしまった。
「亜優奈様、お味はいかがでしたか?」
列の中央に立つ男性が聞く。
自分の名前を知られていることに驚いてから、「おいしかったです」と言うと、皆して頭を下げるから、戸惑ってしまった。
なんか凄く特別扱いされてるみたいで、変な感じ。
セレブはこれが日常なのかな
と頭の隙で思った。
「これで信じてくれた?」
「はい。ってそのために呼んだんですか!?」
「さっきからずっと居たわよ」
「エエ!?」
あまりの驚きっぷりにゼテルアさんは息を吐くように笑った。
「ま、驚くこともなくはないわ」
そう言いながら後ろの方に手を振ると
また男性の声が聞こえたのを最後に、ゼテルアさんは再び私と向き合った。
たぶん、ここからは冗談を言わない話を話してくれるんだろう。
だって目がそう語ってるから。
青い瞳は揺れることなく真っ直ぐ私の視線を掴んでいる。
とても綺麗だと思った。
ゼテルアさんは息を2回ゆっくり繰り返すと、はっきりとした口調で私のすべてを話し始めた。