タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「まったく、困った子ね~」
「死んでも離さないっ」
「はぁ……」
もう一度睨みつけると呆れたように息を吐いて、それから目を細めてさらに近づいてきた。
「こんな手は使いたくなかったんだけど」
掴まれた顎に目を見開く。
そのまま顔を上に向かされ整った綺麗な顔が目と鼻の先にあった。
「ちょっ、なに!?」
「だって、こうでもしないと離さないでしょう?」
さらに顔を近づけて言う神様に手を出しそうになった。
でもそうすれば、また何かしだしそうだし、せっかく手に入れたこの手帳も水の泡になってしまう。
そこはなんとか避けたいと思った末、ただ顔を背けることにした。
なのに顎を掴まれているせいでビクともしない。
「もう観念したら?」
そう言った声は少し掠れて色っぽく、オトコの一部を魅せた瞬間だった。
不覚にも小さく胸が高鳴る。
近づいてくるその顔は悪戯な笑みを浮かべていて、思わず力強く目を瞑った。