タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「すごいですね、この手帳」
「そうなのよ。すごい手帳なのよ。代々受け継がれているのよね~」
少し目が赤いゼテルアさんは置かれてあるそれを手に取ってパラパラとめくる。
手が止まるとまた私向きに広げられて寄せてきた。
目を丸くした。
懐かしいその笑顔になんだか喉を熱くさせる。
「おばあちゃん……!」
「そうカズ子さん。あゆなんのおばあちゃんね」
そこで微笑んでいる私の大好きな顔。
2年前に病で亡くなったおばあちゃんの顔があった。
おばあちゃんっ子だった私はいつも家に上がっては笑いあったり、親には言えない秘密ごとを打ち明けてたりしていた。
一人っ子っていうのもあって親が共に仕事でいない時なんかはしょっちゅう遊びに行ってたな~。
たくさん色々なこと教えてもらったんだよ、おばあちゃんには。
だから今の私がいるんだと思うんだ。
「おばあちゃんに、会いたいな」
おばあちゃんの顔を撫でながら自然と漏れた言葉にすぐ反応したゼテルアさんは、人差し指で上を指して笑みを向けてきた。
「上に行けば会えるわよ」
「え!上に居るんですか!?」
「ここはまだ入口よ?上の世界こそが『天国』なのよ」