タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「準備はいい?」
その弾んだ声に尽かさず声を荒らげた。
いや、荒らざるを得なかった。
「まだ!……というか騙したな!」
「あら、そんなつもりで言ったんじゃないのよ?あゆなんが勝手に入ったんじゃない」
その言葉に言い返すことも出来なくて、ただ笑みを向ける顔を睨む。
ちくしょう。まんまとはめられた。
正確にいうと、ただ単純に馬鹿をしただけなんだけど……。
『面白いもの見せてあげる』
その一言を素直に受け止めてしまったのがいけなかった。
いつの間にか描かれてあったサークルに入るよう促されて、足を踏み入れるとこうだ。
こんなの普通察せるじゃん!あやしいじゃん!
そもそもバッチとか、変身とか意味不明なこと言うんだよ?
1ヶ月の間に解決とかそんな無茶を言っちゃう人だよ!?
「あー、……もうほんとバカだ」
丸い円の中に入ってしまった以上、ここから身動きすらできない状態で空を見上げる。
なにもない天井までもが私を笑ってるように見えて、今度は足元に視線を落とした。
あれからもう一度説明されて、私がするべき事は理解した。つもりでいる。
この世界を現実だと知った今。
それでもどこかで疑いの目を向けているわけで。
だって、変身だよ!?
そんなことできると思う?
たとえ神様だとしてもそんなことは出来ないでしょ。