タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「まったく!私をなめてもらっちゃ困るわ」
「だって、変身なんて2次元でしか見たことないもん!」
「あゆなん、ここは天国よ?」
「まだ入り口ですけどね?」
無表情なまま見上げるとプクーっと頬を膨らませ小さく唸った。
相当悔しいのか眉間にシワを寄せたまま私を指差し宣言する。
「見てなさい!これから確実に驚くんだからっ。それはもう、言葉が出なくなるほどに!」
なぜか挑発している様子に可愛いと思ってしまった。……オカマなのに。不覚だ。
胸ポケットから羽根ペンを取り出したゼテルアさんは私に要求してきた。
地上へ降りるときはまったく別人に変わるため、なりたい自分を決めて行けるらしい。
だから私は即答した。
もともと生まれ変わったら、こうなりたいと決めていたから。
空に書き込まれたなりたい自分リスト。
それが発光して小さな塊を作った。
両手に乗せられた小さな光の塊は温かくて。
まるで、日向ぼっこしてるような温もり。
どこかで感じたことがある温かさに、ここへ来たときと同じだと思った。
「それを、胸の中へ」
声に従った私はその光の温かさに一瞬にして包まれていった。