タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「どう、少しは落ち着いた?」
下からのぞき込むように聞いてくる歩未。
「いー、や。……まだ」
こんな短時間で落ち着けるわけがない。
本当は延期したい。
でもそうするとどんどん長引く気がする。
だから歩未には前もって伝えて、昨日アイツに伝えたんだ。
メールで。
【明日の放課後、屋上に来て】って。
「それにしてもさ、ほんと不思議なんだけど」
「え、何が?」
「亜優奈の好きな人」
何言ってるの?とでも言いたそうな顔をする歩未に私の顔が火照っていくのを感じた。
「うわぁ、顔真っ赤」
ほら、言われた。
「な、なんでだろうね~、私も分からないし……」
体を冷ますように手で煽った。
こんな風圧じゃ冷めっこないのに。
なんせ、夏の太陽とその暑さには叶わない。
それでも手で冷まし続ける。