タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「転入生の佐來あゆなさんだ。じゃ、自己紹介よろしくね」
「は、はいっ」
バラバラな拍手で迎えられ、教卓の前に立った私は緊張していた。
ドキドキしてる。さっきまでしてなかったのに。急に。
知った顔が私を見て待つ様子に逃げたくなった。
手に自然と力が入る。
「がんばれー」
一人の声に耳が異常に反応して、発した人物を見た。
机に肘をついて私を見る人。
嬉しいけど、悔しいとも思った。
松崎幸太郎は今まで見たことのない笑顔を向けてたから。
私には向けない笑顔。
これが現実なんだと思うと無性に悲しくなった。