君に向かって手を伸ばす
青春
『いってきます。』
恋愛映画みたいな友情、恋愛がしたくてついに眼鏡を卒業した。
憧れの青春を無駄にはしないぞ…。
眼鏡とコンタクトで何かが変わるとは思えないけど…。
ぎりぎりまで読んでいた由美ちゃんからの手紙をお守り代わりに胸ポケットに入れて意を決して教室の中に足を踏み入れる。
息を大きく吸い込んで
『お、おはよう…』
緊張してのどがキュッとなって大きい声が出なかった。
こんなのじゃ誰にも聞こえない…。
少し落ち込みながらため息とともに席に着く。
「おはよ!はる!!」
『へっ?』
突然名前を呼ばれてドキドキしながら前を向くと
「俺のことわかる??」
『き、木村君!?』
目の前でニカっと笑う同じ中学の木村君が目の前に!
あれ?同じ高校に行く人なんていたっけ…。
木村智君は一年生の時クラスが一緒になって由美ちゃんの隣の席だった。
いっつも喧嘩しててにぎやかだったなぁ。