君に向かって手を伸ばす

「ああ、まぁな。」

さっきまでニコニコしていた木村君の表情が突然険しくなる。
あっ…もしかして今の質問まずかったかな…。

「はぁ、そんな顔すんなよ。」

そう言って頭をガシガシかき口を開く。

「お前がいるから勉強した。」

『えっ？どういうこと？』

「ﾁｯ…頭いいくせに物分かりわりぃーな。」

怒らせちゃったかも…。私がいるから勉強したって…

『き、木村君もしかして、もしかして、私のこと…』

「おまっ…いや違う!!あ、あのな、」

私がしゃべると木村君が慌てだす。
やっぱり木村君…。

『いじめる気？』

「はぁ？なんでだよ!!」

『え、違うの？』


「だから、なんつーか…久々にお前に会いたかったんだよ…」


『そんな理由で高校を決めてはいけません。』


「お前は親かよ…。お前だって青春するためにわざわざここ選んだんだろ。」