君に向かって手を伸ばす
「はぁ?」
男子に絡んだのは木村君じゃなくって突然やってきた後ろの席の栗田さんでした。
「だから、謝れっつてんの。」
「なんでお前に言われなきゃいけないわけ?」
「なに、殴られたいの?」
「はいはいでました~!!殴るとか脅す奴ぅ~!!」
栗田さんの言葉は脅しじゃなかった。
栗田さんは男子の胸倉を思い切りつかみすごい怖い顔でにらみつける…。
庇ってくれてるのに
「なんつった?」
「す、すみませんでした。」
さっきまでへらへらしていた男子にも笑顔が消え、私にペコリと謝って去っていく。寂しい背中だなぁ…。
「みつ、やりすぎ。」
「殴らなかっただけほめて。」
「なんかあった?」
栗田満穂さんを止める須藤優花さんと私たちを見に来た泉真和くんが集まった。
クラスの人気者が集まっちゃったんですけど…。
なぜかわかんないけど沈黙が走る。
そ、そうだ、助けてもらったから…。
『あ、あのっ…。ありがとうございます…。』