『コーン』な上司と恋なんて
暖房の効いた部屋の中で、課長は私のベッドの上に座ってる。

スーツのズボンを履いた足を組んで、少し前傾姿勢になったままでいる。


カッコ良過ぎる姿にドキン!と胸の弾む音がして、同時に見ている冊子に目がいった。



「……課長、もしかしてそれは…」


「ん?君のアルバム」


ほらっと言って背表紙を見せた。


「やっぱり!」


と言うか、何でそんな照れる物を見てるんだ!


「きゃ〜〜っ!」


大慌てで近付き取り返した。

手から取り上げられた課長は唖然とした目を向けてる。


「な…何か別の物見て下さい!」


「どうして。それが一番面白そうなのに」


「だ…ダメです!私の過去なんて知らなくてもいいでしょう」


「いいじゃないか。誰かに言う訳でもないんだし」


「でも、恥ずかしいので!」


どうしてニヤついたのかが判明した。

課長に幼い頃からの写真を見られて、かなり恥ずかしいものがある。


「芦原さんとこで飼ってた猫の写真を見たいと思ったんだよ」


それは後付けの理由だと言いたい。


「話してた赤い首輪を付けた猫が結構一緒に写ってたね」


嬉しそうな顔で微笑むなんてズルい。
私がそのことを言われて喜ばない筈がない。


「そりゃ…飼ってたんですから…」


背中越しに隠してたアルバムを前にする。

このアルバムには、ミィとの思い出がいっぱい詰まってる。


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