『コーン』な上司と恋なんて
オフィスにでも持ってきてくれるんだろうか。

そんなことをしたら、先輩達に呼び出しを受けそうだけど。


「良かったら明日とかどう?芦原さんが予定さえなければ」


「えっ…」


まさか。それ本気で言ってる!?



「い…いいんですか?」


「男に二言はないよ」


いや、課長はいつも二言も三言もありそうですよ。


「どこで見せてくれるつもりなんです?」


「んー、そうだなぁ。俺の部屋に来てもいいけど」


「ええっ!!」


勢い余って立ち上がろうとしたら、ガツン!とテーブルの台に膝を打ち付けてしまった。


「イタタッ…」


膝小僧の上辺りを摩りながら、「ウソも程々に願います…」と呟く。



「こんなことで嘘言ったって仕方ないだろう」


2缶目のビールを開け、課長はゴクン…と飲み込んだ。


「明日、俺の家でアルバム見せるよ。ジョンが仔犬の頃とか最高に可愛いんだから」


少し酔ってる様な雰囲気で話す。

私はそれを信じきれない気持ちで聞いた。



課長にとっては、大した事を言ってるつもりはないんだ、きっと。

後になって尋ねたら「酔った弾み」的な感じで誤魔化したり、ウソを言われてお終いになるに違いない。

私はきびだんごを貰った犬のように喜ぶだけ喜ばされて、笑われて無かったことにされてしまうんだろう。




「課長……」


もうこれ以上、自分の気持ちを掻き乱されたくない。

真実をきちんと確かめて、答えを出してしまいたい。


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