『コーン』な上司と恋なんて
土曜日の電話にも出ず、かけ直しもしてこなかった私を怒ってるんだろうか。


(それで未希の仕事を全部私にやらせたの?)


私1人にさせなくても、他の女子に任せてもいい様な仕事だった。
未希が担当する請求書の入力処理は、私よりも早く出来る女子がいるのに。


(何よ、一種の嫌がらせみたいなの?)


先にキャンセルしてきたのは課長でしょ…と言いたい。
おかげで私がどれだけガッカリしたか。


ノロノロと更衣室で着替えて外へ出れば、ぽっかりと月が光ってる。


「そうだよね。20時過ぎてるんだし」


この最近で一番よく働いた日だ。
今日の夕飯はコンビニのお弁当にして、明日の為に早く寝よう。


駅ナカのコンビニに向かって歩き出した。
目線を下向きにしてると、叱られた子供のような気分になる。

課長の冷たい態度を思い出し、ショボン…と肩が項垂れる。


(私が悪い訳でもないのに)


そう思うけど気なって仕方ない。
課長はどうしてあんなに冷ややかな態度だったのか。


(明日も同じ様だと嫌だな)


それも明日にならないとわからないけど。



コンビニであれこれと考えた挙句、麦ご飯入りの生姜スープに決めた。
それに卵サラダを一緒に買い、レジで支払って出た時。


コンビニに向かってくる古手川課長の存在に気づいた。
2メートルも離れてないから逃げ出そうにも逃げ出せない。


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