『コーン』な上司と恋なんて
必然的に毎日のように遅くなってしまった。
さすがに金曜日だけは早く帰りたいと願ったけど、今夜もやっぱり無理そうだ。


「あーあ、疲れた…」


時間を確認すると20時近くになってる。
ここ数日間、21時近くまで働いた。



(この私が…よ)


こんなに勤労したことなんて入社以来きっとない。

自分でも少し驚き。
私がもしも妊娠してもこのオフィスで働いてたとしたら、その時は未希に頑張ってもらおうと思う。



「あと少しだから頑張ろう」


午後から課長は製造部へ行ってていない。
結局、次の約束を結ぶ機会もないまま、週末を迎えていた。



(次なんてなかったな…)


先週の金曜日が夢みたい。
課長が私の部屋に来たことも、一緒に鍋を突いたのも現実味が湧かない。


このまま接点もなくなってしまうんだろうなと思う。

課長とジョン君のアルバムも、見せてもらえないままなんだろうな。


(金澤さんとはどうなんだろう?)


一番気になる部分を考えないではいられない。

結局のところ、課長はバツイチなんだろうか。



(全部、話してくれると言ったのに……)


思い詰めると悲しくなった。

今夜は私以外の社員も全員退社してるか接待でいない。

だから、泣いてもいいんだけど、ここではやっぱり涙も引っ込む。


ウルウルした目でディスプレイを見てても仕事にならないから、気分を変える為に席を立ち、自販機のコーヒーを買って戻って来ると……


< 131 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop