『コーン』な上司と恋なんて
こんなプレゼント交換ですが
３０分後、『いなり茶屋』という店で、私は課長とキツネうどんを食べてた。

神社で言った通り、課長は２０分もしないうちに茶屋に来て、待ってた私を連れ立って中へと入った。


店は昭和レトロな雰囲気で、壁のあちこちにひと昔前的な物が飾ってある。

色の冷めた写真や誰のものかもわからないサイン。三角形のペナントや茶褐色になってしまったメニュー。

テーブルも脚が折り畳み式のやつで、椅子もビニールの張られた古めかしい感じのもの。


いかにも田舎の定食屋みたいな店に課長は何度も足を運んでるみたいだった。

店に入るなり店主が顔を見て笑い、「来たな。坊主」と言ったから。

言われた課長は苦笑いを浮かべて、私に窓際へ行くように…と促した。



「今日は奥さんと一緒か」


店主の声に違いますよ…と答えてる。
私はそのまま奥さんでも構わないのになぁ…と思いながら席へと着いた。


窓側の席は大きな窓辺から海が一望できる。
冬の海は寒そうで、所々に白波が立ってた。



「注文してきた」


課長はそう言うと、私の前の椅子に座った。
ニット帽は脱いでて、いつものように前髪で額が隠れてる。

ダークブラウンに染まった髪は適度に空かれいて、その隙間から見えてる目元が凛々しい。


（こんな人が恋人や旦那さんならいいのに）


高望みはしても仕方がないけど、同じ一緒に暮らすならイケメンだよね、やっぱり。



「ん？」


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