『コーン』な上司と恋なんて
脚を崩して聞いてはいけない気がして、きちんと正座をし直す。


「結論から話すとしたら、俺は誰とも結婚をしたことがないし、金澤さんとは付き合ったことも無い。あくまでも友人としてしか、接したことがない」


課長はそう言うと真面目そうな目を向け、「聞いた?」と念押しして尋ねる。

その問いかけに頷きを返し、話の続きを待った。


「金澤さんとは地元が一緒で、中学時代までの同級生なんだ。父親がゴールデンのブリーダーをやってる人で、俺は生まれ過ぎた仔犬を1匹貰ってくれないかと頼まれた」


課長の話を纏めるとこうだった。


金澤さんと課長は中学を卒業後、10年目を記念して開かれた同窓会で久し振りの対面を果たした。

在学中に同じ部に所属してた彼女とは家が近いこともあって、幼い頃からご家族とも面識が深かった。


「その会場で聞かれたんだ。『ゴールデンの仔犬を要らない?』って」


誤解しないで欲しいんだけど、聞かれたのは俺だけじゃなかったからな…と課長は付け足した。

話しながら食べようと言われ、箸を持たされる。



「はい…」


少しだけ気が楽になってきた。脚を崩し、厚揚げを一口頬張る。

そんな私を見ながら、課長はジョン君と初めて会った日のことを回想した。



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