『コーン』な上司と恋なんて
「えっ…?」


また課長がウソを言ってる…と思った。
得意なジョークで、私を喜ばせようとしてる。


「ほ…ホントに専業主婦をやってもいいんですか?」


騙されたつもりで聞いてみた。
それは確かに、私の大願ではあるけど。



「いいよ。その代わり、しっかりサポートしてくれ」


いつまで経っても冗談だと言わない。

いい加減にしてよ…と思い、じっと目を見つめた。


真っ直ぐに向けられた眼差しが揺るがない。
まさか、本気でプロポーズをしてる……?



「……も、勿論です!」


狼狽えながら、よろしくお願いします…と頭を下げた。

顔を上げたら安心したように微笑む課長の目から涙が溢れてきて、それにつられるように私も思わず泣いてしまった。



『大願成就す。機を待て』


クリスマスに引いた御神籤の通りだと思った。

それを結んで帰り、いつまでも幸せを祈ろうと思う。



「今度はミィに会いに行こうか」


奥の院への参道を歩きながら課長が話す。

来週にでも…と呟く声に頷き、「必ずですよ?」と頼んだ。


「必ずな」


私の小指に指を絡めてきて、きゅっと力を入れて約束する。


こんな上司と恋した私。

もうすぐ、幸せになれそうです。



END





読んで下さった皆さん、
更新を追い掛けて下さった皆さん、
本当にありがとうございました。



森沢結羽

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