『コーン』な上司と恋なんて
「それも言って欲しくない」


「何だか子供みたいですよ」


「ああ、俺は翼が思ってる以上に子供なんだよ」


運転してたけど止めるように言われた。
これ以上不機嫌にさせてもマズい…と思い、路肩に車を停車させた。



「こっち向いて、翼」


怒ってるようだからビクついた。
何をしてくるんだろうかと、ドキドキしながら振り向く。



「全く…」


そう言うとぐぃっと上半身を引き寄せられた。
カッチリと羽交い締めにされて、身動き一つ出来ない。


「俺の前で他の男に抱き付かれるなよ」


耳朶を甘噛みしてくるから、ついビクッと震える。


「この口で他の男の名前を呼んだりもするな」


上唇の先を優しく噛まれてキスされた。


「折角お父さんに認めてもらえたのに、嬉しさ半減しただろう?」


次々と嫌味を吐き続けながらキスが繰り返されていく。

そのうち反論もできない私の唇を完全に塞ぎ込み、ゆっくりと口腔内を舌で撫で回した。


ぞくぞくと背中から腰にかけての力が抜けだす。
こんな意地の悪いキスをされたのは初めてだ。


「かちょ…」


広幸さんと言うよりも呼び易くて、つい役職名を口にした。

途端に唇を離した課長は、ムッとした表情を浮かべて零した。



「暫く翼にはキスしない」


プイッと怒って背中を向けられてしまった。

課長がこんな子供染みてるなんて、本当に今日初めて知ったよーーー。



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