『コーン』な上司と恋なんて
「ご老犬だと聞いたので、長生きできるようにと思ってですね」


袋を開けて中身を取り出した課長は、『長寿御守り』と書かれた金糸の文字を見て固まる。

言葉も出ないくらい意外だったのか、そのまま何も言わずに御守りの文字に見入ってる。



(うふふ。驚いてる)


サプライズの成功を1人でほくそ笑んだ。
課長はそのうち御守りから目を離し、私の方に向けて言った。



「……ありがとう。ジョンの首輪に付けてやるよ」


そうは言ってる顔があまり嬉しそうには見えないような気がする。
唇の端は持ち上がってるけど、雰囲気は何故か暗い。



(余計なことしちゃったのかな)


何となくそんな感じがして落ち込みそうだった。
課長は御守りを袋に戻し入れると、「ところでさ」と明るい声で聞いてきた。


「これってクリスマスプレゼント?……という事は、俺にも何かある?」


まさかの催促に慌てる。
私はワンコのことしか頭になくて、上司でもある課長には何も買い求めなかった。


「えっ……とぉ……」


困った。まさか縁結びの御守りをあげる訳にもいかない。



(ど、どうしよう…)


俯いたまま考えてたら、頭の中に御神籤のことが浮かんだ。


(そうだ!アレがある!)


脱いだコートのポケットから取り出した物を握りしめ、拳を前に突き出した。


「すみません。課長にはコレしかなくて」


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