『コーン』な上司と恋なんて
私はどちらかと言うと話すのは苦手。
話すよりも聞く方が好きなタイプだ。


「翼は大人しいもんね。出しゃばらないから私は好きなんだけど」


未希の言葉にありがとう…と告げた。

同い年で新婚の未希は、私と違って余裕がある。


「お正月になったらまた祈願に行くつもり。いい人と出会えますように…って」


昨日も散々お願いしたんだけどね…と、頭の中で声にならない思いを話す。

未希は「叶うといいわね」と笑い、パソコンの画面へと目を向ける。


私達のオフィスは化粧品会社。
私と未希はそこの庶務課で働く一般職。

主にする仕事はネットを介して注文してくるユーザーの顧客管理と促販。
たまにクレームも来るけど、その処理は大抵課長がやってくれる。


だから、課長は部署の「金棒」とも言われる。
どんな怖そうな人からのクレームも上手に処理してしまうから。


(あれは絶対に外見のおかげもあるよねー)


直接会いに行って謝った場合、二度と同じ人からのクレームはこない。

そりゃイケメンから頭を下げられたら「許しません」なんて言えないもん。


(いいなぁ。顔がいいって無駄じゃないんだぁ)


どこのオフィスにも1人や2人いる特別な存在の課長。
それと比べて私みたいな女子は、きっとどこのオフィスにも大勢いる筈。


(まぁ私ほど手を抜いた仕事ぶりの人はいないと思うけど)


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