『コーン』な上司と恋なんて
(やっぱり素敵〜〜)


私がこの会社の顧客なら、絶対にクレーマーになって課長を毎回呼びつける。
嫌味を言って困らせて、目の前で謝らせてみたいなぁ…と思う。


悪いこと考えるなぁ…と、我ながら妄想に呆れてたらお昼休みになった。

未希は月曜日には同じビルで働く別会社のご主人と一緒に食べるから、「また後でね」と言って席を離れていく。


(いいなぁ。家庭のある人は)


私も未希と同じ合コンに参加してたのに、その時も上手く話せず仕舞いで終わった。

あーあ…とため息を吐いて周りを見渡せば、いつの間にか誰もいなくなってる。



「そうか。今日はランチバイキングの日か」


社食では毎月一回ランチバイキングが行われる。
今年は今日が最後で、豪勢な物が出ます…と報告があったばかりだ。


「残念。お弁当なんて作ってくるんじゃなかった」


昨日ガソリン代を使ったから安上がりにしようと思ったのが間違い。

折角作ったからには食べないと勿体無いし、バイキングは年が明けてもあるからいいや。


給湯室に行ってお茶を淹れながらお弁当を温めた。

ホカホカになったランチケースとマグカップを手にして部署に戻ってくると、意外な人がデスクに付いてる。



「課長…」


思わず声を発した。
給湯室から出てくる私に背中を向けてた人が、椅子を回転させて振り向く。


「やぁ、芦原さんも弁当派?」


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