『コーン』な上司と恋なんて
割り箸を手にした課長の前にはコンビニのお弁当。
「はい…」と返事をして進むと、「こっちで食べれば」と誘われた。



「一人で食べるのも味気ないしさ」


そりゃそうだけどいいんですか。
私が課長の彼女ならこんなの絶対にして欲しくないけど。


「見せたいものもあるし」


そう言われると断る気も失せてしまった。
自分の椅子を引き寄せて、課長のデスクにお弁当を置く。


「可愛いケースだなぁ。こんなので足りるのか?」


二段になった楕円のランチケースを見て驚かれる。


「足りますよ。ご飯もおかずもギュウギュウに詰め込んでますから」


パカッと開けたら覗き込まれた。
今日に限って冷食が殆どだと言うのに。


「本当だ。ギッシリ」


そう言われると恥ずかしい。
自分で作った物が少ないのも照れる。


「頂きます」と手を合わせて食べ始めた。
課長は暫く無言で弁当を食べ、自分が食べ終えてから私に言った。


「昨日貰った御守り、帰ってジョンの首輪に付けてやったよ」


証拠写真を見せると言い、胸のポケットからスマホを取り出す。


「ほら」


見せられた液晶画面にはワンコの写真。
誇らしそうに胸を張り、その首元に緑色の御守りが映えてる。


「長生きできそうだろ。ジョンも嬉しそうだった」


課長の言葉にジン…と胸が熱くなった。

私の思いを汲んでくれたことが何よりとっても嬉しい。


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