『コーン』な上司と恋なんて
かなり先のことになりそうだけど…と思いつつ尋ねた。

課長が言うには、アメリカのテレビにも紹介された程の名所が有るらしい。


「芦原さんも彼氏と一緒に行ってみればいいよ。そこに行く途中で大きな橋もあるし」


眺めが最高にいいんだ…と笑顔で話す。
私には彼なんていないのにな…と考えた。


「そうですね。また行ってみます」


彼氏がいないというのを教えずに頷く。
嘘を吐く訳じゃないけど、課長に敢えていう事実でもない。



私がお弁当を食べ終えると、課長は外出してくるからと席を立った。

どうやらそれがあったからバイキングには行かず、部署のデスクで食事を済ませたらしい。


(ひょっとして、課長の行動を止めてたんじゃ……)


行ってらっしゃい…と言いながら胸がきゅんと切なくなった。

ワンコの写真といいケータイのアクセといい、わざわざ見せる為に呼ばれた様な気がする。



(気のせいよね)


自惚れなんてらしくもない。
モテない私には、課長とのことを想像するのも罪だ。


それでもまた触れ合えた。
大吉の御神籤と御守りのおかげだと、ぎゅっと手を握りしめる。



(明日も何かないかなぁ)


淡い期待を胸に午後からの仕事は頑張った。

調子のいい奴だと我ながら呆れて。


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