『コーン』な上司と恋なんて
古手川課長は私を1階のベーカリーショップに連れて行った。
イートインスペースもあり、パンの他にもパスタやグラタンも食べられる店だ。


「正月休みの間、和食続きだったから無性に洋食食べたくてさ。芦原さんはどう?ここでもいい?」


「あ、はい。私は何処でも大丈夫です」


我が家でもおせち料理は出た。
朝は必ずと言っていいほどお餅だったし、悠生と作るお菓子以外は洋風なものはあまり出なかったから丁度いい。


「何にする?」


「カルボナーラがいいなぁ」


あっさりとしたトマトサラダもセットにして頼んだ。
課長はアサリのパスタにしようと言い、ベーコンサラダをセットにした。


イートインスペースには同じ社内の子は少ない。
社食のメニューが豊富で、ここを利用する人も僅かなんだ。


「幹事なんて厄介なものが当たったね」


課長はネクタイを緩め、先を巻きながら呟く。

私は胸のポケットにネクタイを仕舞い込む課長の手元を見ながらドキドキするばかりで頷く。


「何処でやる?というか、いつにする?」


セットのサラダが来るまでの間に決めてしまいたい感じでスケジュール帳を取り出した。


「来週までには終えておきたいからできれば半ばくらいがベストだけど」


「金曜日は多いですよね。じゃあ木曜日の夜とかどうですか」


「となると12日か。大きな会議もないし大丈夫だろう。その日にしようか」

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