『コーン』な上司と恋なんて
空々しいな…と思いつつも、私も幹事としての賛辞を送った。


「お料理どれも人気があって良かったです。私も食べましたけど、レシピが知りたいくらいに美味しかったです!」


途中からヤケのように飲食してた。
一通りのお料理には手を付け、デザートのアイスもきっちりと食べた。


「また是非お立ち寄り下さい。ご家族との食事やデートでもお気軽にご予約下さって構いませんから」


女らしく微笑み、「ちょっと…」と断りつつも課長のことを呼び付ける。

「来て来て」と指先で示された課長は、仕様がなさそうに付いて行った。


あんまりジッと見ててもいけない気がして、私は直ぐに自分の手荷物を取りに椅子へ行く。

コートを羽織ってボタンを留めてたら、「えっ!」と驚きの声が聞こえて振り返った。



課長は私の位置からは背中を向けてて顔は見えない。
でも、金澤さんは驚いた表情のままで目を丸くしている。


時々「ウソ」とか「どうにもならないの!?」と聞き直し、何だか信じられないといった感じ。

チラチラと気になるから視線を送ってたけど、なかなか話が尽きそうにもないから、先に帰りますね…と言おうとした。



「あっ、芦原さん、待って。一緒に帰るから」


まだ話したそうな金澤さんを置いて、古手川課長が私の方へやって来る。


「私なら一人でも大丈夫ですよ」


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