『コーン』な上司と恋なんて
新しいシリーズは『オリエンタルローズ』と称され、主に香りに敏感な主婦やキャリアウーマン向けに作られた微香性のシリーズだ。

私達アラサー世代に人気なのは『フレッシュローズ』というシリーズで、華やかなバラの香りがするのが特徴。

私は『オリエンタルローズ』の香りも好きだから週末用に…と、化粧水とミルクローションだけは買った。


そんな購買層の声は、可もなく不可もないといった感じだった。

優しい香りで気に入ってます…という声もあり、言えてる…と思う。


その中で気になる文章を書いてる人がいた。

あまり深刻そうではないけど、見捨てておけない気がする。



「課長!」


声を上げていた。
上座にいる人はこちらに顔を見せ、「何だ?」と短く尋ねる。


ジロッと先輩の何人かが私の方を向いた。
その視線が突き刺さり、怖かったけど続きを述べた。



「ちょっと…感想ノートの中で気になることを書いてる人がいて…」


私が課長の席に行こうかと椅子を後ろに下げると、それよりも先に課長が私の元へと急いで来る。


ドキン!と胸を弾ませてしまう。
この間から課長のそんな姿を何度、目にすることだろう。



「どれだ」


背中側に回り込む様にしてパソコン画面を覗く。
髪の毛に触れる息が近過ぎて、ドクン!と胸が躍る。



「コレです」


カーソルを動かして色を付けた。
それにはこんな事が書き込まれてあった。


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