『コーン』な上司と恋なんて
就業時間も過ぎて、大抵の女子達はさっさと更衣室に逃げてしまう。

私は課長が戻らないから上がろうにも上がれない。

帰ってきたら金澤さんのことについて話も聞きたかったし、流れでまた誘ってもらえるんじゃないかと期待してた。



(遅いな……)


出掛けてから何時間経つんだろう。
私が課長を呼んだのが3時位だったから既に4時間近くにはなる。


(もしかして、今日はもう直帰したのかも…)


私もずっと部署に詰めてた訳じゃない。
トイレにも行ったし、営業推進課にも用事があって行った。


その間に連絡があったのかもしれない。
だとしたら待ってても無駄だ。


カタン…と椅子を後ろに下げて立ち上がる。
そのまま机の中に押し込み、パソコンの蓋を閉めた。



「お疲れ様でした」


同じ島に残ってる社員に声をかけて出る。
花の金曜日どころか魔の金曜日みたいな気分。



(真っ直ぐ帰りたくないな……)


そうは思っても妊娠が判ったばかりの未希には会いにも行けない。


仕方ないから駅ナカのコンビニに寄った。

新発売と称されてるプリンパフェを買おうと手を伸ばしたら。



「帰りか?」


声を聞いて反射的に顔を見た。

ずっと待ってた人がいて、思わず声も出せずに見つめる。



「どうした?」


どうしたって課長、それはこっちの台詞てすよ。


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