契約彼女にした理由
学は何を考えてる?



『日本に帰って来てるなら何故私に会いに来ないの?』


『もうすぐ別れる女には知らせる必要ない?』


『色んな女と遊んできた学にとっては私も同じ存在だった?』



私の心をドス黒い感情が支配していった。


時間を見ればもうすぐ22時だ。残業している人も疎らになっている。


鞄に携帯を仕舞い、PCの電源を落とした。



「お先に失礼します!」



残っている人達に声を掛けて会社を後にした。


コツコツと響く自分の足音が薄暗い中に響き渡っている。


エレベーターを待つ間、そっと目を閉じた。



『葉月、愛してる。』


『葉月、ずっと一緒にいたい。』


『葉月………。』



学の甘い声が今でも脳裏に焼き付いている。



『篠崎さん、いつものように飽きたんでしょ。』


『日本に帰って来てるらしいよ。』


『もう別れたの?』



エントランスで話される噂話に唇を噛み締めた。



「嘘つき…………。」
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