契約彼女にした理由
腕を振り払おうとする私を、半ば引き摺りながら学が歩いていく。



「ちょっと学!」


「黙れ。」


「離して!」


「無理。」



学が非常階段を上り、屋上に向かっている。私は諦めて学についていく。



バン!



勢いよく開けられた扉に体が揺れた。



「ンンッ………。」



屋上に上った途端、口を塞がれ、驚きに目を見開いた。


目の前には学の青い瞳が私を射ぬくように見つめていた。


胸を押し返せば、逆に引き寄せられ抵抗も出来ない。



「ハァ、ハァ………まな………。」



離れた唇に大きく息を吸い込み、反論を口にすれば直ぐに塞がれる唇に私は胸を押し返す。


それでも学の腕は緩まない。


壁に押し付けられ、学の手が私の顎を掴み固定する。



「ンンッ…………、ンンッ………。」


「黙れ、葉月。」



僅かに出来た隙間から学の低い声が吐き出された。


直ぐに塞がれる唇に、私は諦めて学の腰に腕を回した。
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