契約彼女にした理由
暫くすると学の唇がやっと離れていった。


閉じていた目を開ければ、間近にある学の目と絡み合った。



「葉月、『さよなら』って聞こえたが?」


「言葉通りよ。」


「俺は別れない。」


「別れない?私はてっきり捨てられたんだと思ってたけど?」



息の掛かる距離で私達は会話をしていく。お互い低い声を吐き出しながら………。



「俺は別れない。」


「………なら、何で日本に帰って来てる事を連絡してくれないの?」


「…………。」


「嘘つき………。」


「嘘つき?」



学を睨み付けた。



「嘘つき!」



学を睨む瞳から涙が溢れ落ちていく。



「今までの女と一緒にするな!」



私の怒鳴り声が静かな屋上に響き渡った。


二人の間に沈黙が流れる。風の吹く音だけが耳に聞こえてきた。



「葉月、悪かった………。泣くなよ。」



学の腕が私を優しく抱き締めた。
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