契約彼女にした理由
俺の行動は早かった。


最も会いに行きたくなかった相手に、俺は次の日会いに行った。


アメリカにある本社のCEO室には親父である飯島宗助がいた。



「珍しいな、学が会いたいとは。」



親父は相当驚いたに違いない。会っても信じられない目で俺を見つめている。



「親父に頼みがある。」


「………ははっ、まあ座れ。」



親父の驚いた表情に、どれだけ親父に辛く当たってきたのか感じた。



「っで?」


「…………ある女と結婚したい。」


「…………そうか。」



親父は嬉しそうに微笑んだ。



「結婚式はいつだ?予定を空けておく。」


「まだ決めてない。その前に………。」


「その前?」



親父が不思議そうな声を上げ、眉間に皺を寄せた。



「俺は愛人の息子だから。受け入れて貰えるか分からない。」


「…………どこかの令嬢か?」


「B.C .Buildingの吉良副社長の娘。」
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