契約彼女にした理由
バスルームに直行する学に抵抗するが、結局、一緒にお風呂に入った。



「葉月の失態だろ。」



この言葉に反論できない。



「葉月の誕生日の日、お父さんに結婚の承諾を貰いに行く。」


「えっ?」


「お父さんの予定を頼んだぞ。」



湯船に浸かりながら、背後に座る学が話した。驚きに学に振り返る。



「お父さんに?」


「ああ。」


「会うの?」


「当たり前だ。」



学が私の腰を抱き寄せた。



「ちょっと。」


「いいだろ。ほら、俺に凭れろ。」


「もう…………。」


「本当はさ、もっとサプライズ的にプロポーズしようと考えてた。」


「サプライズ?」


「そう。葉月のお父さんに認めて貰えるポストに就いて、そして葉月に指輪を渡してプロポーズする予定だった。」


「ふふっ、ちゃんと考えてくれてたんだ。」


「なのに葉月は『さよなら』とか言うし。本当、早とちりし過ぎだろ。」


「ごめん。」
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