契約彼女にした理由
あっという間に昼休みになった。私は溜め息を吐くと待ち合わせ場所に向かった。


先に着いていたのは学だった。あれだけのイケメンが立っていれば目立つ。


レストランにランチに向かうOLが学をチラチラと見ている。


私は大きく深呼吸をして近付いていった。



「篠崎さん、お待たせしました。」


「いえ。行きましょうか?」



私は学の隣に並び、ビルの外に続く街路樹を歩き出した。


12月に入り、街はイルミネーションに飾られている。



「吉良さん、お店は何処でもいいです?」


「はい。」



二人で空いていそうなお店に入る。まあ、ランチには値段が高い店だ。


向かい合って席に座った。



「葉月、昨日はどうした?俺は『持ってこい』って言っただろ。」


「えっ?」



さっきとは別人のような学に目が点だ。



二重人格か?



「まさか女に約束を破られるとは。契約を破るのか?」



学の変わりように、前に座る学を唖然と見つめた。
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