契約彼女にした理由
「葉月が決めた相手なら、私は反対はしない。」


「ありがとうございます。」


「葉月を幸せにしてやってくれるか?」


「もちろんです。」



学の大きな声に父がクスリと笑った。



「そんなに緊張する必要はない。」


「一つ話しておきたい事が………。」


「何だね?」



学が小さく深呼吸する音が聞こえてきた。チラリと学を見上げた。



「実は私の母は――。」


「母?」


「飯島宗助の――――。」


「ああ、知ってるよ。篠崎さんは飯島CEOの息子らしいね。」



学が父を食い入るように見つめ始めた。そんな学に父がクスリと笑った。



「実は飯島CEOから会社に連絡が来たんだよ。てっきり仕事の話かと思ったが。」


「会社に?」


「『息子を頼む』と。飯島CEOは篠崎さんの事を話してくれたよ。」


「………。」


「結婚を認めて貰えるように仕事も頑張ってるらしいじゃないか。それも葉月の為に。」
< 131 / 136 >

この作品をシェア

pagetop