契約彼女にした理由
父はソファーに凭れ、私に視線を移した。



「葉月が幸せならば―――、私は細かい事は言わない。それは葉月に任せてある事だ。」


「でも愛人の息子なんて世間では………。」


「気にしすぎだよ。親ってモノは子供の幸せが一番なんだ。」


「吉良副社長………。」


「葉月、幸せになりなさい。早く孫を抱かせてくれよ。」



父の幸せそうな顔が目の前にはあった。



「はい。」


「葉月の本物の愛を私は信じてる。」


「ふふっ、お父さん、ありがとう。」



私は父に微笑めば、同じように微笑む父の幸せそうな顔があった。



「二人で幸せになりなさい。篠崎さんも飯島CEOを父として認めてやりなさい。とても心配していたよ。」


「はい。」



学が深くお辞儀をしていた。



『本物の愛を信じてるよ。』



父の言葉に大きく頷いた。



『本物の愛―――。』



やっと見つけたんだね、私は。
< 132 / 136 >

この作品をシェア

pagetop