契約彼女にした理由
学の言葉に嬉しくなる。私も学に出逢ったから結婚しようと思えたからだ。


ふと窓の外を見れば、見覚えのある景色が目に飛び込んできた。



「学?」


「俺たちの初デートを覚えてるか?」


「もちろんだよ。」



学は車を停めた。ドアを開けて外に出れば、風が吹き抜ける。


学が私の隣に立ち手を繋ぐ。その手をしっかりと握り返した。



「葉月、行くぞ。」


「うん。」



私は学と並んで上を目指して歩いていく。途中にあるお土産屋に目を奪われながら……。



「あっ、あれ、駆に買ってこう。あっ、他の二人にもいるか。」


「帰りに買え。先に上まで行くぞ。」


「はいはい。」


「疲れたら言え。お姫様抱っこしてやる。」


「…………結構よ。」



私たちは言い合いながら上へ進んでいく。そして見えてきたのは―――。



「2度もやる必要ある?」


「これは一生葉月に掛けておく鍵だ。」


「………学もだよ。」


「ああ。」



二人の名前を南京錠に書く。そして二人の手で鍵をかける。
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