契約彼女にした理由
「葉月、これは俺からお前に。」



学がポケットから小さな箱を取り出した。そして箱を開ければ―――。



「葉月、結婚するぞ。」


「ふふっ、俺様ね。」



学が箱に収まるダイヤの指輪を取り出し、私の左手薬指に嵌めていく。



「南京錠?」


「ああ、南京錠をモチーフにした指輪にダイヤを埋めてもらった。」


「ふふっ、鍵はないの?」



冗談で言ったつもりが―――。



「ここだ。」



学がしている男物のネックレスの先には鍵が繋がっている。



「俺と葉月、二人で開けていく。これからの未来の箱を。」


「ふふっ、そうだね。」



学が私の肩を抱き寄せた。



「葉月、今夜は泊まれよ。」


「…………。」


「無言は肯定だな。」



私たちが見つけた本物の愛を信じて。



「お土産を買いたい。」


「ああ、買ってやる。」


「………買ってくれるの?」


「ああ、安いな。」



意味不明な学の言葉をスルーしたが、学の部屋で意味を理解した。
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