契約彼女にした理由
プルル………


目の前にある内線電話を取る。



「はい、吉良です。」


「葉月、副社長室に来なさい。」



一言だけで切れた電話は、勿論、副社長である父からだ。


私は大きく息を吐き出して席を立った。階段で上の階に上っていく。


用件は想像がついていた。


コンコン……。


大きく深呼吸をして声を掛けた。



「葉月です。」



私は大きな副社長室に足を踏み入れた。


父の視線がデスクにある資料から私に向けられた。



「そこに座りなさい。」



不機嫌な声から父の言いたい事がわかった。


ソファーに腰掛ければ、父も私の前に腰掛けた。



「噂を聞いた。付き合ってる男がいるのか?」


ビンゴ!


私は大きな溜め息を吐いた。



「はい。」


「誰だ?」


「SIZAコンサルティングの篠崎学さんです。」


「篠崎………。」



父が目を閉じて考え込んだ。
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