契約彼女にした理由
目を閉じたまま考えていた父が、暫くすると目を開いた。



「葉月、結婚は別だ。」


「わかっています。」


「ならいい。葉月も26だ。そろそろお見合いも頷いてもらわないといけない。」


「…………。」


「27になったらお見合いをしてもらう。わかったな?」


「………。」


「それまでに別れなさい。」



父が話は終わりだと言わんばかりにソファーから立ち上がった。


私は以前から父にお見合いを薦められている。リミットは27歳。来年の6月までは自由だ。



「葉月、お前が本当に好きなら無理にとは言わない。」


「お父さん?」


「だが心から愛してないなら………葉月には幸せな結婚をしてもらいたい。」


「………うん、わかってる。」


「心から愛する相手が見つかる事を祈ってる。だが私も早く孫の顔を見たいからな。27になったら結婚をしてもらう。」


「………はい。」


「葉月、お見合いも幸せになる一つの方法だ。」



父がデスクにある資料に視線を落とした。私はソファーから立ち上がり、副社長室を後にした。
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