契約彼女にした理由
「いた。青いネクタイに黒っぽいスーツの男。」



視線の先にはイケメンの男達がお酒を片手に話している。



青いネクタイの黒っぽいスーツの男――――。



「ふ~ん、チャラそうな男。美月も見た目で遊び人って分からない訳?」



私はその男に向かって一直線に歩いていく。



「えっ?お姉ちゃん?待って。」



美月の制止を無視して人だかりが出来ている男達に向かっていく。



「お姉ちゃん、待って。」



私は一人の男の前に立った。男の視線が私に向けられる。


切れ長の二重からはブルーの瞳が覗く。茶色に染めた髪をセットし耳にはピアス。


相当、遊んでそうな男だ。



「お姉ちゃん、待って。」


「そのお酒、美味しそうね?」


「…………何の用件だ?」



眉間に皺を寄せた男が私を見据えている。私はにっこりと微笑み、テーブルにあるお水を手に取った。



「ふ~ん、如何にもって男ね?」



手に持っていた水を男の顔に向けて飛ばした。
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