契約彼女にした理由
父の辛そうな言葉は今でも心の中に深く刻み込まれている。


父と母は好き同士で結婚もした。


人の気持ちなんて分からない。いつかは変わるモノなのかもしれない。



『葉月、別れよう。』


『葉月、お前にはついていけない。冷めすぎなんだよ。』


『俺を愛してないだろ?』



愛する?


それって………どんな気持ち?



「心なんて変わるモノよ。」



私の小さな呟きが漏れた。



「ん?吉良さん、何か言った?」


「いえ。今日も残業かな?って。」


「そうね。頑張らないと帰れないわね。」



私は頭を切り替え、黙々と作業を進めた。



プルル………。



また目の前の内線電話が鳴った。



「はい、吉良です。」



現在進行中のプロジェクトからの呼び出しだった。私は荷物を纏めて外出の用意をした。



「少し出掛けてきます。」



私は同じプロジェクトメンバーに声を掛けて外出した。
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