契約彼女にした理由
「やっぱり挨拶してくか?」


「………必要ない。デートだって伝えてある。」


「なら尚更だろ。」



運転席から降りようとする学の腕を掴んだ。



「必要ない。初デートで挨拶をする男なんている?お見合いで知り合った訳でもないし。」


「…………何で、そんなに拒む?」



学の不機嫌な顔に掴んでいた手を離した。



「付き合って一週間も経ってないのよ?普通の対応だと思うけど?」


「………日数なのか?なら、一ヶ月後には挨拶をする。葉月、わかったな?」


「契約が切れなければね。」



学が運転席に座り直して車を発進させた。チラリと学を見た。



「学、この一週間でわかった事がある。」


「何だ?」



チラリと学と視線が交わる。



「意外と学との付き合いは楽しい。契約で始まった割りにはね。」


「………そうか。」


「それに一度も身体を要求しないし。それって誠実って事?もしくは………魅力ないって事?まあ聞かないでおくけど。」
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