契約彼女にした理由
学が話を続ける。



「別の日にも葉月を見掛けた。今度はエントランスで見掛けたんだ。」


「学は私をよく見掛けるのね。」


「かもな。そこで男に喰って掛かってた。」


「あっ、ああ~。女の子が泣かされてたのでしょ?」


「ああ。」



私も覚えている。中々ない事だから。



「エントランスで暴言を吐く非常識な男にムカついたの。ただそれだけよ。」


「それだけだが、普通は見過ごす事だ。」


「ちょっとアッパーで女の子にモテるって思い込んでる男にムカついたの。」


「それって俺も?」



クスクスと笑う学に私も笑った。



「学がエントランスで非常識に暴言を女の子に吐いてたら同じ事をしたよ?」


「怖いな、葉月は。」


「嫌になった?」


「いや。その勇気に俺は惚れ込んでるのかもな。優しい一面もあり、逆に怖いぐらいの勇気もある。そのギャップに気になってた。」


「それって前から私を知ってたって事?」



驚きに学を見た。クスクスと笑う学が大きく頷いた。
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