契約彼女にした理由
目の前の学の顔が怒ったような顔になる。



「なんで言い切れる?」


「一度も会った事がないからよ。」


「俺かもしれない。」



学をじっと見据える。



「学は私を本気で愛せると思う?」


「…………ああ。」


「たった一週間よ?学こそ、何で言い切れるの?」


「俺は前から葉月を見てきたって言っただろ?初めて気になる女だった。」


「珍しくて気になるだけ。愛せる相手かは分からない。」


「いや、俺の直感は葉月を愛せると言ってる。」


「ふふっ、そんなのは幻想。恋愛しても一生を過ごす価値のある人間かは分からない。」



コーヒーを持ったウエイトレスが視界に入り、私は学から視線を逸らした。


ウエイトレスがチラチラと私達を交互に見るとコーヒーをテーブルに置いた。



「ありがとう。」


「いえ。」



最後に学をチラリと見たウエイトレスの瞳は輝いていた。
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