契約彼女にした理由
チラリと誠に視線を向ければ、じっと私を見下ろしている。



「ないわ。」



私の一言に誠がクスリと笑った。



「もしかして見合い相手は俺かもしれないぞ?」


「見合いすればね?」



到着したエレベーターに乗り込んだ。誠が私の後ろから入って隣に立った。



「どういう…………。」


「誠、エレベーターの中よ。」



私はチラリと誠を見上げた。険しい表情の誠から視線を逸らした。


私達は別れて席に着いた。



「ちょっと吉良。」



課長の声に席を立ち、課長の席の前に立った。



「はい、課長。」


「悪いが、新規建設予定のホテルの打ち合わせを頼む。」


「新規建設予定のホテルと言いますと………海辺のリゾートホテルですか?」


「そうだ。来週の月曜から2日間の予定だ。」


「わかりました。」


「私が取り仕切る。同行を頼む。それで今週中に資料を頼む。」


「はい。」



課長から資料を受け取り席に戻った。
< 49 / 136 >

この作品をシェア

pagetop