契約彼女にした理由
男の手が私の腕を掴む。私は頭だけ振り返った。



「何?身体が目的?だったら、一晩だけ相手すれば済む話でしょう?俺の女になれって意味がわからない。」



私の低い声が響いた。その男がまたニヤリとした。



「一晩だけ?それで済む話か?間違いで水を掛けられた上に、ラウンジでは恥をかかせられた。」


「セフレになれって事?」


「違う。俺の女になれって事。つまりは彼女になれって事だ。」



私は腕を払えば、男の手が離れていく。



「失態したのは葉月、お前だ。だから失態は償ってもらう。これは契約だ。」


「…………飽きたら終わりって事?」


「ああ、そうだ。それまで契約だ。俺の女になれ。」



私は大きく溜め息を吐いた。



「わかった。」


「賢い女で良かったよ。」


「とりあえず、そのスーツ代はいくら?弁償します。」


「金はいらない。」



そう言うなり、男が私の唇を奪った。私は驚きに目を見開いた。
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