契約彼女にした理由
「契約成立だ。」


「…………手が早い男ね。」


「俺は篠崎学(しのざき まなぶ)だ。SIZAコンサルティングに勤務している。」



私は篠崎学を見つめた。



「吉良葉月(きら はづき)よ。B.C. Building勤務。」


「吉良副社長の娘。」


「…………。目的はお金?」


「金には困ってない。」



私は篠崎学から視線を外した。



「その格好じゃ帰れないでしょ?ホテルに部屋を用意してもらうから、シャワーでも浴びて?服は私が用意してくる。」


「葉月、一緒に浴びるか?」


「浴びない。」



私は携帯を取り出してホテルに連絡した。すぐに部屋を用意してもらえるらしい。



「本当にごめんなさい。篠崎さ………。」


「学だ。名前で呼べ。」


「………学さん、ホテルのフロントで私の名前を伝えて?部屋に服を届けさせるわ。」


「葉月、お前が持ってこい。」



それだけ言うと屋上の扉を出ていった。私はじっとその後ろ姿を見つめていた。
< 7 / 136 >

この作品をシェア

pagetop