契約彼女にした理由
週末は学の部屋で過ごす。


クリスマスに初めて訪れた学の部屋には、二人で過ごした証が増えていった。


ペアのマグカップ、私の歯ブラシ、化粧品、私の洋服…………。


冬から春に季節は移り変わり、見慣れた学の部屋でまったりと過ごす。



「葉月の会社も新入社員が入ってきただろ?」


「うん。学の会社も?」


「ああ。若いな、やっぱり。」


「ははっ、おじさん臭い。」


「俺も今年32だし。若く見える筈だよ。」


「32か………。」



『後2ヶ月―――――』



私はどうするべき?



「………づき、葉月。」


「えっ?」



私を見つめる学を見つめ返す。寂しげな学の瞳が別れを予感させる。



「葉月、俺は葉月と………。」


「今日の夜ご飯は何を作る?ほら、何だかんだで学の方が料理上手だし。」



学に微笑むが、学が真剣に私を見つめている。その視線から逃れたくて私は立ち上がった。
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